ブエノスアイレス州に位置するラプラタ国立大学の研究者グループは、10年前より科学をポピュラーにするため、生徒と教員を対象にする 包括的仕様の教材を制作しています。コロナ禍で対面式授業が中断され、オンライン方式の授業に移行されたことが大きなキッカケとなりました。 タイトルは“グリプトドンとスミロドンの足跡を追いながら”で、ラ・パンパ州で発見された化石についての字幕入りのドキュメンタリー、3Dプリント、点字の物語やガイドアナウンスで構成されています。 誰でも無料でラプラタ国立大学のウェブサイト www.caminando.unlp.edu.arから、そして同大学の Facebook や Instagramのアカウントからも観覧、及び ダウンロードできます。 ドキュメンタリー“グリプトドンとスミロドンの足跡を追いながら”には様々な言語の字幕がつけられ、そして手話入りバージョンも近く発表される予定です。 また幼児・思春期の児童を対象にする書籍 “グリプトドンとスミロドンの足跡を追いながら:地球上の生命の進化を理解するため”では様々進化のセオリーを解りやすく説明し、グループでできる学びを深めるエクササイズが紹介されています。 物語“グリプトドンとスミロドンの足跡を追いながら。アメリカ大陸が1つになった時”は点字または音声読み上げ機能付きの絵本で、ラプラタ国立大学出版物としては初の点字書籍となります。 そしてラ・パンパ州で発見されたグリプトドン、マストドン、スミロドン、メガテリウム、フォルスラコス、トクソドンなどの化石の早見カードや3Dプリントの触覚教材も準備されています。  

マルビーナス諸島戦争で戦ったアルゼンチン人兵士、フリオ・アロさんは今週ノーベル平和賞候補の1人としてその名前が発表されました。その際、アロさんは “ (ノーベル平和賞は)1人の母親が失ったと思った息子を深く抱きしめ、キスで埋め尽くした時にもうもらったのと同じだ”とコメントを出しました。 アロさんと同時にもう1人候補として名前を発表されたのは、同じくマルビーナス諸島戦争で、英国軍の兵士として戦ったジョフリー・カルドソさんです。英国籍のカルドソさんは、マルビーナス諸島のダーウィン墓地に埋葬されていた身元不詳の遺体の身元確認作業に従事した功績が高く評価され今回のノーベル平和賞候補となりました。ノミネートのニュースを受け取った際、カルドソさんは “(アロさんと)2人で候補に挙がったことは大変な栄誉で、誇らしいことだ。嬉しくて、雲に上にいるような気持ちだ” とコメントしました。 アルゼンチン人のアロさんは、終戦後、マルビーナス諸島を訪問し、ダーウィン墓地で埋葬されていた遺体の約半数が “神のみぞ知るアルゼンチン人兵士”という墓標のもと埋葬されていたことに衝撃を受け、身元不詳の遺体の身元確認を進め、遺族と繋げて行く作業を開始しました。 そのため、英国軍の復員軍人グループと連絡を取り合い、アルゼンチン人兵士の遺体を見つけ、無事に保管し、身元確認にために決め手となった情報を提供したカルドソさんと知り合いました。そして未だに行われている遺体の身元確認作業遂行のため、“No me olvides”(忘れないで)基金が創立されました。 現時点で戦場で死傷した115人の兵士の遺体の身元確認が、国際赤十字とアルゼンチン検死会の共同作業により行われ判明しています。アロさんは“何時でも必要に応じ、対応してくれた皆さんに心の底より感謝している”と述べています。 マルビーナス諸島戦争は1982年勃発しました。当時軍事政権下にあったアルゼンチと、19世紀半ばよりマルビーナス諸島を違法占領していた英国との間に生じた軍事衝突でした。権力の座に居座り続けるため、軍事政権が採った最終手段が英国との軍事紛争でした。アルゼンチンの普段の市民の生活を一変に破壊へと導いた戦争でした。その1年後軍事政権は選挙を行い、1983年の10月、民主主義政権・ラウル・アルフォンシン大統領政権が発足しました。

新型コロナウィルス感染拡大を阻止するため

カルラ・ビソッティ アルゼンチン保健アクセス庁長官は新型コロナウィルス感染予防のため、ロシアが開発するワクチン・スプートニクVを購入すると発表したアルベルト・フェルナンデス大統領の発言に関し、第3フェーズの試験段階が完了する前からアルゼンチンは世界諸国と同様に、ワクチンの供給需要に対応するためワクチン購入契約を取り付けていると述べました。アルゼンチン国内でのワクチン接種は無料で、高齢者や持病持ちなどの感染のリスクが高いグループの人々を対象に行われます。     ビソッティ長官は “ロシアの第1・第2フェーズの情報管理は完璧で、中東呼吸器症候群MERSやエボラ熱病の予防ワクチン開発経験もあり、そのためのプラットフォームも健全で、信用するに値すると決断され、医療に従事する人々や教育機関関係者などより接種志願者を集い、そのための登録を行うことが予定される” と語りました。 またビソッティ長官は、ロシアだけではなく、他のラボラトリーよりのワクチン提供のオファーはあったが、1番の違いはロシアは年末までに大量のワクチン・ドーズ供給を確約したことで、アルゼンチン側としても安定したワクチン接種プランを立てることが可能になるという点が最優先されたと指摘しました。 またアルベルト・フェルナンデス大統領は、どこの国が製造したワクチンかということは重要ではなく、“コロナ禍終息へ向けて近づいた”ということが大切だと語りました。 フェルナンデス大統領は、中央政府は “ワクチンは何のイデオロギーを崇拝しているのかということは考えず、命を救うか否か、その点だけを重要視する。冷戦はもう終わったということを知らない人がまだいるようだ。必要ない議論を醸し出すだけだ。”と強調しました。 日本語訳・ナレーション:植田敬子 制作:シルバーナ・アベジャネーダ ウェブサイト:フリアン・コルテス

ホモフォビア(同性愛嫌悪)より逃れて

難民アルゼンチン委員会によると2010年1月から2020年6月までの間に116人の人々が性的マイノリティーであることで、自国では安全と自由が保障されないとの理由でアルゼンチンに難民承認要請手続きを行いました。 申請手続きを行った人々の約40%が国際法に基づき難民と認定されました。ロシア国籍とジャマイカ国籍保有の人々でした。 世界の77の国と地域で同性愛は犯罪とみなされ、12の国と地域では有罪となると、死刑が言い渡されると国際レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランス・インターセックス協会(ILGA)は発表しています。 難民アルゼンチン委員会によると、性的マイノリティーとして自国で迫害を受けている人々は、レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランス(LGBT)コミュニティーの権利擁護及び推進の点で世界の最先端を行くアルゼンチンを、難民申請の場として選んでいるとし、またアルゼンチンは世界でも外国籍の人々にも同性愛者同士の婚姻を認めている数少ない国の1つでもあります。 しかしアルゼンチンでは性的マイノリティーという理由ではなく、海外よりの移民、またはアフリカ系移民という理由で路上で罵らる、または差別を受けると注意を促しています。

入院患者の権利擁護の試金石となるか

アルゼンチン最南端の州、ティエラ・デル・フエゴ州裁判所は新型コロナウィルス感染症で入院している1人の女性患者に見舞い客を許すか否かが争われた裁判で、“現在入院している集中治療室から一般病棟に移された後、見舞客を容認する” との判決が出されました。 この女性患者は新型コロナウィルス感染症の重症患者で、集中治療室に入室しており、配偶者の見舞いが許可されていません。入院して治療を受けている新型コロナウィルス感染症患者に対する人道的配慮に基づく、ケアを受ける権利が世界でも注目されています。 9月30日より入院しており、配偶者は “人道的配慮に基づく新型コロナウィルス感染症医療ケア・プロトコール”を制定するティエラ・デル・フエゴ州令第1323条例と同様の権利を擁護する、アルベルト・フェルナンデス大統領による大統領法令第792-20条例を盾に、入院中の患者との面会を求め訴えを起こしました。 現在は面会は叶いませんが、毎日電話通話は許されており、一般病棟へと移った後には配偶者との面会も実現することになります。  

アルゼンチン保安省と国内で活動する様々な国際人道的救援団体は、アルゼンチン人道支援ネットワーク(RHI)を結成しました。緊急事態や自然災害などの事態に、連携して迅速な対応を取ることが目的とされます。 このネットワークは “緊急事態に迅速な対応を取るため、国連、世界赤十字社、赤新月社とアルゼンチン赤十字社で構成される” と発表されました。 アルゼンチン教会慈善事業会、アドベンチスト開発・救援エージェンシー(ADRA)、民衆の発展国際委員会(CISP), 世界の医師団などのNGOも参加しています。 アルゼンチンのサビーナ・フレデリック保安大臣は “世界全体が緊急事態で、世界が1つになる必要性にここまで駆られることはなかった” と指摘しました。 そしてコロナ禍危機の中、“国連は緊急事態の救援、市民の安全と健康を中心に据えて、大変重要な役割を果たしている” と語りました。    

コロナ禍で運行が中止されていた路線

アルゼンチンのナショナル・キャリア、アルゼンチン航空は11月からスペイン・マドリッド、アメリカ・マイアミ、ブラジル・サンパウロ、チリ・サンティアゴ、ボリビア・サンタクルスデラシエラへむけて最低でも52便が運行されることになると発表しました。 スペインの首都・マドリッドへはブエノスアイレスのエセイサ空港から11月5日、12日、19日と26日に発ち、7日、14日、21日と28日にスペインのバラハス空港からアルゼンチンへのフライトが運行されます。 スペイン入国が許されているのは、スペイン国籍をもつ人、または欧州連合のパスポート保有しスペインに定住している人、もしくは特別な理由がある人々に限られているとアルゼンチン航空は注意を促しています。 またアメリカのマイアミへ向けては、エセイサ空港より来月11月、 2日, 4日, 6日, 9日, 11日, 13日, 16日, 18日, 20日, 23日, 25日, 27日と 30日出発し、マイアミからブエノスアイレスへ向けては2日, 4日, 6日, 8日, 11日, 13日, 15日, 18日, 20日, […]

コロナ禍のアルゼンチンにおけるインパクト

アルゼンチン統計局によると、本年度第2四半期、全国で3.757.000の雇用数がコロナ禍により失われています。 この400万近くの失業者たちの多くは自営業、そして社会保障費などの支払いを行っていない非正規雇用者であるとのデーターで、テラン通信社や国内のメディアにより報道されました。 失業者全体で最も割合が多いのが年齢層35歳以上の女性で、同年齢数の男性と比べると多くなっています。 またアルゼンチン統計局は今回記録された失業者数は、2001年から2002年にアルゼンチンで起きた経済危機から回復途上であった2004年度第2四半期マークされた最悪数値以降のものとなっていると報告しています。  

絶滅の危機にあるアルゼンチン東部に生息するインコ

アルゼンチン・リワイルディング・ファンドはアルゼンチン北東部のコリエンテス州のイベラ湿原地帯・自然保護区域でベニコンゴウインコの幼鳥3羽が孵化したと発表しました。150年前から、野性での絶滅が確定していた種です。 イベラ湿原地帯保護区域の入り口1つ、カンビレタ・ゲートで、放鳥された一対のベニコンゴウインコにより1個の卵が産卵されたのがさる5月、発見されました。それ以前、2019年には最初に放鳥された一対のベニコンゴウインコによる3個の卵の産卵が記録され、このカップルがスタディーケースとなりました。 故ダグラス・トンプキンズ氏により設立された The Conservation Land Trustより、イベラ湿原地帯にベニコンゴウインコを蘇らすことを目的とし、アルゼンチン・リワイルディング・ファンドは発足しました。 世界の淡水資源地帯として最大の面積をほこるグアラニ淡水資源地帯の一部となる、広大な面積を購入したアメリカの大資産家・故トンプキンズ設立のトラストは物議を醸す団体として捉えられています。 この問題の淡水資源地帯の広大な面積の購入は90年代、アルゼンチン中央政府、およびコリエンテス州政府の了解のもと、環境保護を名目に行われました。

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